骨粗しょう症(Vol.4)


■骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは主に女性において閉経後に骨量が減ってスカスカになり骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。

 

骨粗しょう症では背骨が体の重みで潰れてしまうことがあります。これを圧迫骨折といいます。とくに尻もちや転倒で背骨の圧迫骨折、脚の付け根の大腿骨頸部骨折をおこして寝たきりになり、生命的な予後にも大きく影響する点が注目すべきところです。寝たきりの原因は脳卒中が38.7%で1位ですが、第2位には骨粗しょう症が13.2%で続いています。さらに背骨の圧迫骨折の個数が多いほど寝たきりが増えて死亡率も上昇します。とくに視力、聴力、筋力が低下している人は転びやすいので家の中の段差をなくすなど、転倒防止の住まい作りにも工夫が必要です。さらに1度圧迫骨折した人は1年以内に2度、3度と圧迫骨折を繰り返すことも重要です。レントゲン検査で圧迫骨折が見つかった人では約70%が痛みを感じていない点も非常に注目すべきところです。閉経後は急激に骨密度が減少しますので定期的に検査を受けることが重要です。また、骨粗しょう症で背骨が曲がって猫背になると逆流性食道炎を生じて胸焼け、胃もたれ、お腹のはった感じが自覚されます。骨粗しょう症は早期診断とこれに基づく対策が重要です。

 

 

骨粗しょう症が強く疑われる状況とは

男女ともに加齢とともに骨粗鬆症は増加します。とくに女性では閉経に伴い著しく増加します。骨粗しょう症の割合は、60歳代後半では女性の3割以上、男性の1割弱となっており、80歳代になると女性の半数以上、男性でも2割以上が該当します。具体的には背中や腰が痛い、身長が若いときに比べて2cm以上縮んだ、背中や腰が曲がった、足がしびれたり、歩きにくくなる、などはすべて骨粗しょう症の可能性を示すものです。背中が曲がって身長が若い頃より2cm以上低くなっていれば背骨が圧迫骨折を起こしている可能性があり危険信号です。また、上述したように猫背になると逆流性食道炎を生じて胸焼け、胃もたれ、お腹のはった感じが自覚されます。このように65歳を過ぎたらとくに女性は全員骨粗鬆症の検査を受けたほうが良いと思われます。また、男性であっても決して可能性は低くはないので背中・腰が曲がって痛い方、身長が縮んだ方などは是非検査を受けるようお勧めします。また、他の病気の治療のためにステロイド、ワーファリンなどを長期に服用しているなど、次に述べるような危険因子のある方も骨粗しょう症を生じやすいので検査をお勧めします。

 

 

■検査

 

骨量測定

骨量測定は65歳以上の女性全員、65歳未満でも骨粗しょう症の危険因子のある女性あるいは男性が対象になります。

危険因子とは体重が非常に軽い、4cm以上の身長の短縮、背中が曲がっている、背中・腰の痛み、月経の開始が遅い、閉経が早い、卵巣・精巣の手術、種々の内分泌疾患、腎疾患、尿路結石、関節リウマチ、多発性骨髄腫などの血液疾患、病気あるいは治療のための服用によるステロイド過剰、入院などによる長期の臥床、糖尿病、カルシウム・ビタミンD・Kの摂取不足、過剰な飲酒・喫煙・コーヒー摂取、日光浴も含めて運動不足、骨粗鬆症・副甲状腺機能亢進症・尿路結石・骨折などの家族歴など、多岐にわたっています。

 

血液検査

破骨細胞が古い骨を壊し(骨吸収)、そこに骨芽細胞が新しい骨を埋めていく(骨形成)ことにより、骨は常に新しくリフォームされています。この骨吸収と骨形成の状況を血液または尿の検査で判定できます。すなわち骨吸収を血清または尿中のNTx(骨吸収マーカー)で骨形成を血清BAP(骨形成マーカー)で把握することができます。骨吸収マーカーが高ければ骨形成マーカーも高い場合が多いのですが、このような状態は骨代謝回転が亢進していること意味しており、骨量の値に拘らず骨折の危険性が高くなるので積極的な治療が必要となります。

 

 

■治療

 

食事療法

カルシウム、ビタミンD・K、たんぱく質などを積極的に摂取します。また、リンがカルシウムよりも極端に多い食品はカルシウムの吸収を抑えるので注意が必要です。肉、レバー、落花生、ツナ缶詰、コーラなどが該当します。ただし、ツナ缶詰以外は、いわし缶、さんま缶、かつお缶などカルシウムが多く骨強度の維持・亢進に勧められています。

カルシウムの豊富な食品としては、牛乳・ヨーグルト・チーズ・スキムミルクなどの乳製品、大豆・納豆・豆腐・がんも・厚揚げなどの大豆製品、ほうれん草・小松菜・チンゲン菜などの青菜、海藻類、シシャモ・丸干しいわしなどの骨ごと食べられる魚、しらす干し・干しえびなどの小魚類などがあります。

ビタミンDが豊富な食品としては、まいわし、かつお、さけ、さば、さんま、天然ぶり、にじます、めじまぐろ、すずき、うなぎ、かじきまぐろ、かつおフレーク油漬け缶詰などがあります。

ビタミンKが豊富なものとしては、納豆があります。これは納豆菌がビタミンKを大量に作るためです。緑黄野菜にもありますが、含有量はそれほど多くはありません。

 

運動療法

強度が中等度のものが有用とされています。なかでもウォーキング、ランニング、エアロビクスなどが腰の骨量低下を防止します。また、階段昇降、散歩など活発な日常生活活動で大腿骨頸部骨折が予防されることも明らかにされています。万歩計の歩数を目安とすると、とくに老年者では4,000歩でうつ状態の予防、6,000歩で動脈硬化の予防、8,000歩で骨粗しょう症、筋肉減少の予防に効果があるといわれています。しかし、ウォーキングに時間をかけることの出来ない人、あるいはその気になれない人には、家事、とりわけ腰が前後左右、上下に移動するような掃除機やモップの使用、窓拭き、廊下拭き、自動車の洗車などが4,000歩、10分の買い物が2,000歩に相当するといわれています。つまり家事を熱心にやって買い物を2回やれば8,000歩ということになります。ただし、16,000歩で8,000歩の2倍の効果があるわけではなく、8,000歩で効果は頭打ちとなります。

要はゴロゴロしていないで活動的な生活を心がけ、食事にも注意をすることが重要といえます。

 

薬物療法

以前より骨を丈夫にするためにカルシウム、ビタミンD、ビタミンKの摂取が勧められていましたが、これのみでは残念ながら骨折予防効果は必ずしも十分ではないようです。これに対して最近ではビホスホネート製剤が骨折予防に有効であることが証明されて積極的に使用されています。ちなみにビホスホネート製剤の骨折予防効果は新規の背骨の圧迫骨折の場合は49%減少、大腿骨頸部骨折については全体では40%減少、既に背骨の圧迫骨折があった人では何と60%の減少を認めています。

 

 

■骨折を起こさない健やかな人生のために

若い時期には運動と食事に気をつけてコツコツと骨の貯金をしましょう。閉経を迎えたらまず検査を受けて骨密度を調べ骨密度の減少を食い止めましょう。骨粗しょう症と診断されたら積極的に食事療法、運動療法に取り組み、医師の指示にしたがって適切な薬物治療を受けてください。                                (2007年12月)

 

 


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