お身体に不安はありませんか?


Q1

胸の痛みがあって不安です。


痛みの特徴で判断します。

1.痛みというより胸部を前後から挟まれるような強い圧迫感

2.前胸部から背中に突き抜ける持続的な激痛

3.局所性の鈍い痛みが反復し、階段を登ったりして負荷がかかると息苦しい

4.ズキンとしてそのあとスーッと和らぐもの

5.何となく持続する胸部不快感 


A1

痛みというより胸部を前後から挟まれるような強い圧迫感

 

狭心症(きょうしんしょう)、心筋梗塞(しんきんこうそく)が疑われます。

 

 何らかの原因で心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が狭くなり、心筋の血液、すなわち酸素の需要に対して供給が不足して起こる病気を虚血性心臓病といいます。虚血とは血液、すなわち酸素が少ないという意味です。この虚血性心臓病の代表が狭心症と心筋梗塞です。狭心症は酸素不足が一過性で回復するのに対して、心筋梗塞では回復することなく心筋が死んで壊死に至ります。虚血性心臓病の多くは動脈硬化が原因です。かつて日本では少なかった虚血性心臓病も、食生活の欧米化などから年々増加しています。

 

 狭心症の自覚症状は、ときどき起こる胸部圧迫感の発作で、発作時以外に症状はありません。突然、ズキンと強烈な痛みがくるのではなく、胸部圧迫感が30秒~1分で徐々に増強して頂点に達し、生汗を伴うのが特徴です。救急車を呼びたくなるような生命の危機感や恐怖感を伴います。症状は5~10分持続した後1~2分で徐々に消失します。発作中にニトログリセリンを口に含み、舌の下で溶かすと1分余りで発作は消失します。早期に循環器科専門のドクターに診てもらいましょう。

 心筋梗塞では症状が頂点に達したまま15分~30分以上持続し狭心症よりもさらに重症感があります。また、ニトログリセリンは無効で、直ちに冠動脈造影および緊急治療の可能な循環器専門病院へ入院が必要です。狭心症が短時間に何回も繰り返し進行性に持続時間が長くなったり症状が強くなったりする場合は、心筋梗塞に移行する前段階の不安定狭心症あるいは急性冠症候群などとよばれる極めて危険な状態です。直ちに専門病院へ緊急に入院が必要です。


A2

前胸部から背中に突き抜ける持続的な激痛

 

解離性大動脈瘤(かいりせいだいどうみゃくりゅう)が疑われます。

 

 大動脈は、血液に接する内膜、その外側の平滑筋からできた中膜、さらに一番外側の外膜の三層構造になっています。解離性大動脈瘤では、最初に内膜に亀裂を生じ、そこから中膜に血液が流入して中膜が内外の二層に裂けて(解離)いきます。解離は内膜の亀裂部位から上流あるいは下流方向に波及し、それに伴い大動脈から分岐する種々の血管の根元を締め上げてその血管が養う臓器の血流を障害します。たとえば片方の腕の脈が触れなくなったり、血圧の左右差を生じたりします。また、解離性大動脈瘤は突然の解離による胸部や背部の激痛で始まるのが特徴で、さらに解離が広がるにつれて胸部から背部、さらに腹部、腰部と激痛が移動します。激痛は2~3時間、あるいはそれ以上続き、解離の進行スピードの変化に応じて激痛も変動します。心臓血管外科と循環器内科が連携できる病院へ緊急入院が必要です。


A3

局所性の鈍い痛みが反復し、階段を登ったりして負荷がかかると息苦しい

 

自然気胸疑われます。

 

 肺は肋骨とそれに付着した種々の筋肉で構成された空間、すなわち胸腔の中にあります。自然気胸とは、突然、肺に穴があき肺の中の空気が肺の外の胸腔内へ漏れて、その空気によって肺が圧迫されて縮んでしまう病気です。突然、激しい胸痛に襲われ、息苦しさや咳などが出現します。その後も局所性の鈍い痛みが反復し、階段を登ったりして負荷がかかるとさらに息苦しさや咳などの症状が増悪します。自然気胸は通常は片方の肺におきますが、その後、同じ側に再発したり、反対側におこったりすることもあります。10~30歳代くらいまでの背の高い痩せ型の男性に多くみられます。胸部レントゲンや胸部CT検査で確認されます。


A4

ズキンとしてそのあとスーッと和らぐもの

 

整形外科的なものが疑われます。

 

 指の先端で圧迫すると、そこが痛いという圧痛点がある場合は神経や骨に由来するものが多いようです。この他に体をひねったり、腕や肩、腰の動きなど体位の変化によって誘発されたり増強するのが特徴です。


A5

何となく持続する胸部不快感

 

不安神経症の可能性があります。

 

①始まりと終わりがはっきりせず、症状が強くなったり弱くなったり、いつの間にか消失したかと

 思えば、また、いつの間にか出現しているなど、何となく1日中持続する。すなわち、発作として

 始まりと終わりの時刻を記載できないような曖昧な症状。


②静かにしているときには気付きやすく、何かに集中していると忘れてしまう。


③大きなストレスがあり精神的に不安定なとき生じやすい。

 

 などの特徴があります。 



Q2

動悸に悩まされています。


A1

ドクンと単発の動悸を感じるもの

 

期外収縮が疑われます。

 

 心房性または心室性の期外収縮が不整脈の中で最もポピュラーなものです。

重い心臓病に伴う期外収縮であれば治療が必要ですが、多くは心臓病はなく、たまたま期外収縮だけを生じています。このような場合には原則的には治療は必要ありませんが、動悸などの症状が強くて生活に支障をきたしている場合は治療を行います。

 

いずれにしても専門医による診断が必要です。


A2

ドクドクドクと連続して速い脈が続く場合

 

洞性頻脈です。

 

 興奮したり、ストレスが強いと自然に脈が速くなって動悸を感じます。脈拍は1分間に90~130程度で心配要りません。しかし、大した理由もなく頻繁に洞性頻脈が繰り返すようであれば、不安神経症、パニック障害、甲状腺機能亢進症、高度の貧血などのバックグラウンドの検討が必要です。

原因に対する治療に平行してβ遮断薬や精神安定剤による動悸のコントロール効果的です。


A3

脈拍数を数えるのが困難なくらいの速い脈が発作性に出現する場合(リズムが規則的な場合)

 

発作性上室性頻拍または心室頻拍

 

 代表的なものが発作性上室性頻拍で、突然、機関銃のように規則正しい速い脈が打ち出します。心拍数は1分間に150~220程度ですが、自分で脈拍数をカウントするのは速すぎてほとんど不可能です。停止も突然で、始まりと終わりの時刻を分単位で日誌に記載することが出来るほどです。15分以上たっても自然停止しない場合は医療機関を受診して下さい。症状が類似するものに心室頻拍があります。これは症状がもっと強く重症感があり、血圧が低下します。

 

 また、心室頻拍で薬物治療による発作予防ができなければ植え込み型除細動器が必要です。なお、発作性上室性頻拍と心室頻拍の区別には発作中の心電図が不可欠です。動悸発作のある方は、是非、発作中に医療機関を受診して、心電図で発作の正体を確認して下さい。さらにできるだけ早く専門施設を受診して精密検査、治療を受けて下さい。


A4

脈拍数を数えるのが困難なくらいの速い脈が発作性に出現する場合(脈の間隔が不定でリズムが不規則な場合)

 

発作性心房細動です。

 

 発作の始まりは突然ではっきりしており不規則な速い脈がうちますが、時間がたつと動悸の症状は次第に弱まり、発作の停止は不明瞭です。ポピュラーな不整脈で特に60歳をこえると増加します。

 長島茂雄氏の脳梗塞の原因として有名になりましたが、心房細動では心房内に血の固まり(血栓)を生じ、これが血流に乗って脳に飛び脳梗塞となることがあります。この場合の脳梗塞の予防にはワーファリンが有効です。



Q3

失神発作について教えて下さい。


種々の原因で生じますので、治療はその原因によって異なります。

1.心臓由来の失神

2.起立性低血圧による失神

3.血管迷走神経反射、排尿失神

4.テンカンによる失神


A1

心臓由来の失神

 

①不整脈による失神 失神は一時的な心臓の停止を意味しており、これが回復することなく持続

  すれば当然ながら急死に至ります。房室ブロックや洞不全症候群などでは心臓のリズムが極端に

  遅くなり、ときに5秒以上にもおよぶ心停止を生じます。心停止時間が数秒程度であれば一瞬の

  めまいですみますが、さらに長く続けば失神となり、そのまま回復しなければ急死に至ることに

  なり、人工ペースメーカー植え込み治療が必要です。

 

 これとは別の心室細動や心室粗動、心室頻拍などの不整脈でも、心臓は停止してはいないの

 ですが、ポンプ機能が一時的に極端に低下して心臓からの血流量がほぼ0となり失神に至ります

 ので緊急的に電気的除細動が必要です。また、薬物治療による再発予防が困難であれば植え込み

 型除細動器が必要です。

 

②その他の心臓性失神 大動脈弁狭窄症や肥大型閉塞性心筋症のように左心室から大動脈へ血液が

   流れて行く流出路が狭くなっている場合、ファロー四徴症原発性肺高血圧症のように肺への

   血流が著しく障害されている場合などに失神を生じます。


A2

起立性低血圧による失神

 

 起立した瞬間に血圧が極端に低下し、これに伴って脳の血流量も低下してめまいや失神を生じます。これはもともと血圧の低い人に生じやすいのですが、脱水や種々の神経の病気に伴って認められる場合もあります。また、激しいスポーツを行った直後にクールダウンが不十分なまま突然運動を停止すると、最大限に拡張した下肢の末梢血管に大量の血液が流れ込み血圧が著明に低下して、めまい、失神を生じることがあります。起立性低血圧はその原因に応じて予防や治療を行います。


A3

血管迷走神経反射、排尿失神

 

 不快な刺激、たとえば痛い注射、浣腸、骨折のときに失神を生じることがあります。また、密閉された場所に多数の人が集まって暖かすぎるような環境などでは脂汗、あくび、吐き気などが出てきてボーッとなり、立ち続けることも困難となってめまい、失神を生じることがあります。これは種々の刺激によって迷走神経(副交感神経)が過剰に緊張した結果、血管が拡張して血圧が低下することによるもので特に疲れているときにおこりやすいので注意が必要です。また、バス旅行などでビールを飲んで排尿を長時間我慢したあと、膀胱に大量に溜まった尿を一気に出したときなどにも血圧が低下して失神を生じることがあります。これを排尿失神といいます。


A4

テンカンによる失神

 

 痙攣があり発作の持続も長い典型的なテンカンであれば間違うことはありませんが、持続の短い小発作では脳波所見も明らかでない場合もあり診断が困難です。発作そのものによる生命的な危険はありませんが、転倒などに伴う二次的な事故や怪我の予防のために十分な治療が必要です。



Q4

呼吸困難について説明して下さい。


 心臓病では心臓のポンプ機能が障害されて肺にうっ血を生じ、これによって呼吸困難が出現することがあります。もちろん呼吸器の病気でも呼吸困難を認めますが、この場合はまず咳や痰が先行して呼吸困難を生じるのに対して、心臓病の場合にはまず呼吸困難が出現し、それに続いて咳や痰が出現します。



Q5

足が腫れます。


 腫れについては、まず、片側性であればその局所の炎症、感染、静脈やリンパ管の閉塞などが原因として考えられます。両側にあれば心臓、腎臓、肝臓などの内科的疾患がないか検討します。

 また、原因の分からない腫れも多く、高血圧の治療薬、とくにカルシウム拮抗薬でもしばしば足の腫れがみられます。



Q6

高血圧のクスリは、一旦、始めたらずっと飲まないといけないのでしょうか?


 正常者でも50歳を境に徐々に血圧は上昇します。したがってとくに高血圧の家族歴のある方は年齢に伴い確実に血圧が上昇して、残念ながら多くの場合服用を継続しなければなりません。しかし、軽症高血圧では一般療法によってクスリを中止できることもあります。また、中止できなくともクスリを減量できる可能性はあります。

 

 一般療法とは、①塩分1日6グラム以下の減塩、②ウォーキングなどの軽い運動を、呼吸がやや速くなり軽く汗ばむ程度の強さで少なくとも20分以上続ける(有酸素運動)、③アルコールを控える、肥満があれば少しでも体重を減らすように努力する、⑤禁煙、などです。一般療法は3ヶ月継続すれば効果があります。

 

いずれにせよ、高血圧のクスリは自分の判断で勝手に減量したり中止したりせず、専門医に相談してください。



Q7

高血圧の場合、血圧はどこまで下げるのですか?


 140/90mmHg以上が高血圧、130~139/85~89mmHgが正常高値血圧、130/85未満が正常、さらに120/80mmHg未満が理想的な血圧とされています。高血圧の治療目標値もこれらの血圧区分に従いますが、年齢によって多少異なります。すなわち、74歳以下の若年、中年および前期高齢者の場合は140/90mmHg未満、75歳以上の後期高齢者では、とりあえず150/90mmHg未満まで降圧(血圧を下げること)し、次いでゆっくりと最終目標値の140/90mmHg未満まで降圧するようになっています。また、糖尿病、慢性腎臓病を認める場合の治療目標値は130/80mmHg未満とさらに厳しくなっています。



Q8

家でも血圧を測る方が良いのでしょうか?


 大いに測って下さい。測ると神経質になって嫌だという意見もありますが、血圧測定に慣れることが大事です。自動血圧計は指先や手首で測るものよりも上腕(二の腕)に腕帯を巻いて測るタイプのものが正確です。そして記録を残してください。記録しないと人の記憶は曖昧で自分に都合の良いように覚えてしまいます。ついでに体重や体調もメモしておくと後で参考になります。

 また、記録すると血圧に対して関心が高まりクスリの飲み忘れもなくなります。このような自宅で測定した血圧を家庭血圧といいますが、これは診療所や病院の血圧よりも低いのが一般的です。したがって高血圧の基準も両者で異なり、それぞれ診療所・病院では140/90mmHg以上、家庭血圧では135/85mmHg以上となっています。なお、正常血圧は診療所・病院では130/85mmHg未満、家庭血圧では125/80mmHg未満となっています。

 

 血圧は1日24時間の間に規則的な変動を示します。すなわち、血圧は午前中、とくに早朝に上昇し午後は低下して夜間睡眠中はさらに低下します。そして再び早朝を迎えると覚醒直前には睡眠中であっても体内時計に合わせて血圧は上昇します。「1日1回測るとすればいつが良いのか」という点については、「朝起床して排尿し、朝食までの1時間の間に座った姿勢で測る」というのが専門家の一致した意見です。この時間帯の血圧が安静時としては1日のなかで一番高いとされており、いわば一番条件の悪いときの血圧をチェックすることになります。

 

 1日の中の血圧変動に特殊なパターンを示す場合もあります。たとえば早朝の血圧上昇がとくに顕著なものを「早朝高血圧」といいます。また、家庭血圧は正常なのに診療所や病院では極端に血圧が上昇してしまう人もいますが、これは「白衣高血圧」とよばれています。

 これに対して、診察時には高血圧は認められないのに早朝や夜間に血圧が上昇する「仮面高血圧」または「逆白衣高血圧」とよばれるものや職場環境のストレスによって勤務中にのみ血圧が上昇する「職場高血圧」などもあります。このように診療所や病院で測った血圧は単なる偶然の値であってその人の日常の血圧を反映していないことも多く、高血圧の診療に家庭血圧は非常に重要で不可欠なものといえます。なお、数回連続して血圧を測ると通常は1回目が一番高く、2回目以降は次第に低くなります。このため平成20年頃より家庭血圧の測定は1度に繰り返し行うのではなく1回のみとして、これを記録に残す方法が主流となっています。



Q9

どんな人が狭心症・心筋梗塞になりやすいですか?


 高血圧、糖尿病、高脂血症などはいずれも狭心症、心筋梗塞の発症を促進する危険因子(リスクファクター)として広く知られていますが、最近、話題になっているメタボリックシンドロームも非常に重要です。メタボリックシンドロームとは、過剰な内臓脂肪が高血圧、糖尿病、高脂血症などを同時に発症させるもので、しばしば尿酸値の上昇も合併しています。これらの異常は、それぞれは軽度であってもお互いが悪い方向へ協力的に作用して動脈硬化の発症を促進し、狭心症、心筋梗塞への道を突き進むことになります。メタボリックシンドロームの詳細については、当院ホームページの「院長の一口メモ」で紹介していますので是非ご参照下さい。他にタバコ、ストレス、A型行動パターンなども危険因子として挙げられています。

 なお、A型行動パターンとは、攻撃的、仕事好きで、すべてを抱え込み複数の事柄を同時に進めようとして、絶えず時間に追われるような行動をとる人が当てはまります(血液のA型とは関係ありません)。